私はそのときまだ小学生にもなってないくらいの子供だった。その日誰かを探してたどり着いたところは、広い、土の匂いがする公園のような別荘の敷地だった。全体的に色褪せた赤い雰囲気で、そのときは秋だった。家の人なのか、バイトなのか、ボランティアなのか分からないけど、体格の良い、ショートカットの日焼けした女性がせっせとごみや落ち葉を集めていた。おそらく以前は誰も手がつかなくなって大荒れになっていたような跡が残っていたけど、その女性のおかげなのか、石でできた花壇などがたくさんできていた。私も黙ってそれを見ているうちに手伝いたくなり、恥ずかしながら彼女に「箒はありますか!」と聞いていた。彼女は私がそう言いだすと思っていた、みたいな顔をして「そこ」と微笑みながら花壇の横を指さした。私はただ黙々と落ち葉や、なんだかよく分からないごみを掃いて集めた。最終的にごみなんだか、物なんだか分からないようなものも、とりあえず一緒に無理やり箒で集め、大きな古い家の前に集めた。物らしいものを取り上げてまじまじと見ていると、まさか中に人がいるとは思わなかったので驚いたが、おばさんとおばあさんの間のような人が出てきて、「あらあらありがとうね。とりあえずあがって。」と言ってくれた。私がいることに何の抵抗もないところから見て、こういう人は他にもいたのかもしれないなと思った。入ってすぐの畳の部屋に通された。私は鍋○ ○○○さんという人を探していた。なぜか記憶がないけど、それだけは分かっていて、その人を探しにこの家に来たようだ。そのおばさんに聞くと「ああいたよ。いい子だったねえ」と言った。この家に昔いて、今はもう出ていったそうだ。「こんなのもあるよ」といってさっきのバイトのおねえさんが赤くてA4より少し大きめの、横に長い形の、丈夫そうだけど薄めのアルバムのようなものを持ってきた。それはただのアルバムじゃなくて、写真を一つの紙にまとめて印刷して本にした、フォトブックのようなものだった。中にはこの家で行われたであろう、誕生日などのイベントの写真が写っていた。なぜか人は写っていないが、豪華なケーキたちが写っていた。豪華、といっても高そうな、ということではなく、様々なキャラクターを模した、立体的な、手の込んだものだった。ドラク○のモンスターや、デジモ○の人形の形をしたケーキだった。私はそれを斜め後ろからフォトブックを一緒に見ていた大柄な男に見せ、「すごいね!すごいね!」と言った。私の頭からは完全に消えていたが、その大柄で腰の低い、優しそうに見える男も私と一緒にここに来たのだ。誰かが帰ってきた声がした。「あーあんたこっちこっち」といっておばさんが誰かを招いた。しばらくしてその人がたくさんの洗濯物を抱えて入ってきて、座る場所がないので大柄な男が私を持ち上げ、男がかいた胡坐の中にすっぽりと入れた。私は頭の中で「私には大事な人がいるんだぞ!そんなことしてもお前に惚れたりしないぞ!」と思ったけど、そんなことよりもフォトブックに夢中だった。その誰かのことも洗濯物のことも頭に入っていなかった。私が全く耳を貸していないのをよそに、おばさんがその女性を大柄の男に紹介した。大柄の男が「先に藤川さんが来ちゃったね」と笑って言ったので、そこで初めて顔を上げた。『藤川亜○さん』は私の探している鍋○ ○○○さんの関係者のはずだった。藤川さんは小太りで、化粧もほとんどしていなく、頭の高いところでお団子をし、黒縁眼鏡をかけていた。ここの雰囲気に合うえんじに近い赤いセーターを着ていた。「ああ、鍋○ ○○○さんを探してんだ」とおおらかに笑いながら言った。なんか大人の話が始まりそうだったので、私はそれよりも気になるフォトブックをめくり続けることにした。するとあるページでどこかで見たことがあるような女性が、真剣な眼差しでこちらを見ている写真が4枚、2ページにわたってあり、暗い背景に白文字で「藤川亜○」「本当は私・・・」という文字があり、なんか彼女が動き始めてそこから出てきてそうなところで目が覚めた。
(2017/4/10)
なお、大柄の男とはSNSで羽の生えた羊的な名前を名乗っている例のサークルの同回生だった。夢の中では自分は子供だったから初めて会う人にも礼儀的なことは何もしなかったし、周りの人もそれで許していたような雰囲気があった。アルバムに見入ってるところとか、子供が周りの声聞こえてないときってあんな感じなのかなと思った。
なお鍋○ ○○○さんはほんとになんて名前だったか思い出せない。藤川さんははっきり思い出せるけど知り合いにいないし、フルで被った人がいたらなんかこんなところでさらされてかわいそうなので隠す。最後に出てきたフォトブックの写真の人は顔は完全に岸井ゆきのさんだった。
続けて書こうと思ったけどもう眠いからまた今度。